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最高裁判所第二小法廷 昭和23年(れ)1091号 判決 1948年11月13日

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人倉金熊次郎の上告趣意について。

本件再上告は、東京高等裁判所(第一二刑事部)が上告審として上告人が期間内に上告趣意書を提出しなかったことを理由としてした、上告棄却の決定に對してなされたものであるが、再上告は、高等裁判所が上告審としてした判決に對してのみ許されるものであることは、刑訴應急措置法第一七條の規定するところであるから、右決定に對してなされた本件再上告は不適法である。よって、刑事訴訟法第四四五條に從い主文のとおり判決する。(かりに、本件申立を、右原審の決定に對する抗告と解するとしても、右のごとき決定に對しては、その決定において、法律、命令、規則又は處分が、憲法に適合するか、しないかについてした判斷が不當であることを理由とするときに限り、許されるものであることは、刑訴應急措置法第一八條の規定するところであるが、本件において「上告趣意」として主張するところは、第二審判決に對し、或は、事実誤認ありとし、或は擬律錯誤ありとし、ひいては憲法違反のかどありとして、これを攻撃するにすぎないのであって、原決定に對する不服の理由を主張するものではないのであるから、抗告適法の理由とはいえないのである。)

右は全裁判官一致の意見である。

(裁判長裁判官 塚崎直義 裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 藤田八郎)

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